一人薬剤師は、薬局の『顔』

薬局内で笑顔を見せる男性薬剤師

一人薬剤師として長く働いてきました。

でも、昔から「自分は薬局の顔だ」と強く意識していたわけではありません。

そう考えるようになったのは、今の薬局で、集客ということを本気で考えるようになってからです。

近隣の医療機関に頼らなくても、患者さんにこの薬局を選んでもらえるようにしなければならない。

そう考えたとき、薬局のことを知ってもらうだけでは足りないと思いました。

自分自身も知ってもらわなければならない。

「あの薬剤師に相談したい」

「あの薬剤師から薬をもらいたい」

「あの薬剤師のところに行こう」

そう思ってくれる方を増やしていく。

その頃から、自分が薬局の「顔」にならなければいけないと考えるようになりました。

この考えを持つに至った背景には、その前に経験した一つの出来事が大きく影響しています。

目次

薬局がなくなるとき、私は患者さんを分けていた

以前勤めていた薬局が閉局することになったときのことです。

患者さんには、薬局が閉局することと、私は別の薬局へ移ることを伝えていました。

ほとんどの方には、

「私はここに移ります」

と伝えていました。

その中で、自分なりに「この方とは関係ができている」と感じていた方には、

「もしよかったら、今後も」

と、こちらからもう一歩踏み込んで声をかけていました。

もちろん、関係性だけで決めていたわけではありません。

関係ができていると感じていても、新しい薬局までの距離や年齢を考えて、「ここまで通うのは大変だろうな」と思えば、そこまで積極的には声をかけない。

そんなふうに、その方のことを自分なりに考えて判断していました。

でも根っこには、

「この方とは親しい」

「この方とは、そこまでではない」

「この人とは合う」

「この人とは、あまり合わない」

という、私なりの線引きがあったのだと思います。

ところが、その線引きはあまり当てにならなかった

薬局が変わってみると、思っていた通りにはなりませんでした。

「この方は今後も来てくれるだろう」

と思っていた方が来なかったり、何度か来てくださっても、その後来なくなったりする。

逆に、

「これでお別れかな」

と思っていた方が、新しい薬局にも来てくださり、今も利用してくださっている。

そこで気づいたことがあります。

私がしていた線引きは、あくまで私の側から見たものだった。

相手が私との関係をどう感じているのかは、また別の話でした。

こちらが思っている以上に、私を近い存在として感じてくれている方がいる。

頼ってくれている方がいる。

薬局が変わり、患者さんの行動を通じて、私はそれを知りました。

今の薬局でも、同じことがあります

今の薬局に移ってから、新しく関係ができた方もたくさんいます。

自分の処方箋だけではなく、ご家族の処方箋も持ってきてくださる方がいます。

何か困ったことがあると、電話をくださる方もいます。

遠くから車で来てくださる方もいます。

最初から、

「この方は、きっと自分を頼ってくれるようになる」

と思っていたわけではありません。

あとになって、

「こんなに自分を頼ってくれていたんだ」

と気づくことがあります。

自分では見えていなかったところで、関係ができていた。

そんなことに、今も日々驚かされます。

むしろ、こういう方の方が多いのかもしれません。

一回来てもらえたからといって、次も来てもらえるとは限らない

もちろん、逆もあります。

自分では、

「今日はうまく対応できた」

「この方は次も来てくれるだろう」

と思っていても、来ないことはいくらでもあります。

一度来てくださった方が、その後もずっと利用してくれるとは限りません。

だから、この数年間、

次につなげるために、どうすればいいのか。

そこをずっと考えてきました。

試して、振り返って、変える。

また試す。

その繰り返しです。

そこには、数年間かけて試行錯誤して積み上げてきたものがあります。

具体的に何をしてきたのかは、ここでは書きません。

今の薬局の仕事そのものでもあり、薬局の強みにもなっている部分だからです。

でも、その中で得たことまで隠すつもりはありません。

ここ数年やってきて、私の中ではっきりしたことがあります。

知ってもらわなければ、選んでもらえない

目立つことは大事だと思っています。

患者さんに選んでもらうためには、この薬局で何ができるのか、自分がどんな薬剤師なのかを、自信を持って伝えていかなければならない。

そうしなければ、患者さんから選ばれません。

というより、知らなければ、選択肢にも入りません。

自分を知ってもらう。

薬局を知ってもらう。

選んでもらうために工夫する。

そのために何をするかは、今も考え続けています。

ただ、この数年間でもう一つ、大事だと思うようになったことがあります。

誰にでも、「こちらはウエルカムですよ」という気持ちで

自分が感じている距離感や相性によって、接する気持ちまで変えない。

大事なのは、会話の多さではありません。

私は、

「こちらはウエルカムですよ」

という気持ちなのだと思っています。

「また来てもらって大丈夫です」

「困ったときは、ここを頼ってもらって大丈夫です」

そんな気持ちで接する。

相手が自分のことをどう思っているのかは、こちらからは分かりません。

だから、自分の側から先に線を引かない。

そういう気持ちは、案外相手にも伝わるのかもしれません。

実際、その変化は数字にも表れています。

それが、薬局の「顔」になるということなのかな

最初に「薬局の顔になる」とは何かと考えたとき、私の中では、

「自分を知ってもらう、選んでもらう」

ということでした。

もちろん、それは今でも大事です。

選んでもらうために何をするかも、これからずっと考えていくと思います。

ただ、そこにもう一つ、

誰に対しても「こちらはウエルカムですよ」という気持ちで接すること。

それがあった方がいい。

自分の側から相手との距離を決めつけず、そんな気持ちで日々接しているうちに、

自分を頼ってくれる方が、少しずつ増えていく。

この数年間で、私はそれを実感してきました。

それが、薬局の「顔」になるということなのかな。

今は、そんなふうに思っています。


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