一人薬剤師.comを、もう一度始める理由

しばらく、このブログの更新が止まっていました。

「一人薬剤師.com」を始めた頃の私は、長く一人薬剤師として働いてきた経験から、

一人薬剤師という働き方には、大変さだけではなく、薬剤師として成長できる部分がある。

そんなことを伝えたいと思っていました。

当時書いた記事を今読み返してみると、

「今でもそう思う」

と感じるものがあります。

逆に、

「今なら少し違う書き方をするな」

と思うものもあります。

ブログを書かなくなってからの数年間、私自身の置かれた環境が大きく変わったからです。

※勤務先の特定を避けるため、時期や周辺事情の一部はぼかして書いています。中心となる経験や考え方は、実際のものです。

目次

十数年働いた薬局がなくなった

私は以前、ある調剤薬局で、新規開局の頃から十数年間、管理薬剤師・一人薬剤師として働いていました。

長く働いた薬局でした。

患者さんとの関係もでき、自分なりの働き方も確立していました。

ところが、周辺の医療環境が変わり、その店舗は閉局することになりました。

そして私は、同じ会社の別の薬局へ移ることになりました。

そこで待っていたのは、それまでとは少し違う問題でした。

その薬局も、この先ずっと今までと同じ環境で営業できるとは限らない。

近隣の医療機関に患者さんが集まり、その流れで処方箋が薬局へ来る。

調剤薬局では、ごく普通の光景です。

でも、その前提がなくなったとしたら。

薬局だけで、やっていけるのか。

それを本気で考えなければならなくなりました。

「薬局を知ってもらう」だけでは足りない

最初は当然、薬局そのものをどう知ってもらうかを考えました。

でも、やっていくうちに、それだけでは足りないと思うようになりました。

薬局の名前を覚えてもらう。

サービスを知ってもらう。

それも必要です。

でも最終的には、

自分自身が、この薬局の顔にならなければならない。

そう考えるようになりました。

「あの薬局だから行く」だけではなく、

「あの薬剤師に相談したい」
「できれば、あの薬剤師から薬をもらいたい」

そう思ってくれる患者さんを、どれだけ増やせるか。

私が向き合うようになったのは、そこでした。

とにかく、やれることをやってきた

もちろん、何か一つをやれば患者さんが増える、そんな単純な話ではありませんでした。

日々の患者さんへの接し方。

薬の説明の仕方。

営業時間外の処方箋への対応。

閉局後に患者さんのところへ薬を届けることももちろんあります。

在宅の仕事もあります。

外部で講演することもあります。

そして、薬局を知ってもらうための情報発信も始めました。

私はもともとSNSに詳しかったわけではありません。

動画を作った経験もありませんでした。

やり方も分からない。

本当に結果が出るのかも分からない。

そんな段階で、会社に「撮影機材を買ってください」とは言えませんでした。

必要な機材は自分で揃え、一から勉強して始めました。

企画を考え、資料を調べ、台本を書き、撮影し、編集する。

短い動画を一本作るだけでも、10時間近くかかることがあります。

正直、大変です。

それでも続けてきました。

そして、もっと大きかったのは、処方箋をどう確保していくかという問題でした。

患者さんに、この薬局を選んでもらうにはどうするか。

施設にも薬局を知ってもらい、処方箋を任せてもらうにはどうするか。

そこについて、誰かが営業の方法を用意してくれたわけではありません。

自分で考えて、自分で動くしかありませんでした。

営業時間が終わったから終わり。

休みだから薬局のことは考えない。

この数年間は、そんな感覚でもありませんでした。

別に、それを美談にしたいわけではありません。

必要だったから、やってきただけです。

一人薬剤師だったことは、大きかった

ここで一つ、誤解のないように書いておきたいことがあります。

すべての一人薬剤師が、薬局の将来まで背負って働いている、と言いたいわけではありません。

これは、あくまで私が置かれた状況の話です。

ただ、その状況で私が一人薬剤師だったことは、とても大きかったと思っています。

患者さんが薬局をどう感じるか。

薬局をまた利用したいと思ってもらえるか。

自分の説明は分かりやすかったか。

自分の対応で不快な思いをさせなかったか。

良くも悪くも、自分の仕事がそのまま薬局の評価として返ってきます。

誰かに任せることもできません。

誰かのせいにもできません。

私は、この環境だったからこそ、ここまで自分自身と薬局を重ねて考えるようになったのだと思います。

そして、実際に医療機関はなくなった

数年前に心配していた状況は、現実になりました。

近隣の医療機関はなくなりました。

もちろん、

「もう大丈夫です」

と言える状態ではありません。

順風満帆というわけでもありません。

今も考えることはあります。

やらなければならないこともあります。

それでも、

近隣の医療機関がなくなった今も、薬局、何とかやっています。

そして私は、数年間止まっていたこの「一人薬剤師.com」に、もう一度向き合えるところまで来ました。

これが、この数年間やってきたことの、今のところの結果なのだと思います。

ブログを書かなかった数年間は、空白ではなかった

ブログの更新は止まっていました。

でも、その間も現場では、考え、試し、失敗し、また考えることを繰り返していました。

だから今、以前の記事を読むと、当時とは考え方が変わったことがあります。

一方で、実際に経験を重ねたことで、

「やっぱり、あのとき考えていたことは間違っていなかった」

と、以前より強く思えるようになったこともあります。

ブログにとっては数年間の空白でした。

でも、自分にとっては、決して空白ではありませんでした。

こんな経験をした一人薬剤師だからこそ、書けることがある

以前と同じブログを、そのまま再開するつもりはありません。

調剤報酬が変わるたびに、資料を全部読み比べてまとめる。

新しい制度が出るたびに、解説記事を書く。

そういうことを中心にするつもりもありません。

今はAIもあります。

調べれば、かなりの情報が手に入ります。

だからこそ、このブログでは、

実際に一人薬剤師として経験したこと。
現場で考えたこと。
昔とは考えが変わったこと。
逆に、経験を重ねたことで確信できるようになったこと。

そんなことを書いていきたいと思っています。

すべてを公開するつもりもありません。

仕事の中で試行錯誤して作ってきたものの中には、自分の薬局にとって大切なものもあります。

一方で、自分の経験から生まれた資料や教材の中で、

「これは、ほかの薬剤師にも役に立つかもしれない」

と思えるものは、使ってもらえる形にすることも考えています。

この数年間で、以前の自分にはなかった自信もつきました。

だから今、もう一度書いてみようと思います。

こんな経験をした一人薬剤師だからこそ、ブログに書けることがある。

「一人薬剤師.com」、再開します。

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