一人薬剤師の在宅医療とのかかわり方

独居の老婆

在宅医療が必要な患者さんに薬局薬剤師がどうやったらかかわれるの?と思っている方必見!この記事は私の「在宅医療でかかわった患者さんとのプロローグ」「訪問日時の調整について」「一人薬剤師が行う在宅訪問業務の限界」について書いています。医師からの在宅訪問の依頼は薬局でただ待っているだけではほとんど来ないんですよね。この記事を読んだら、在宅医療が必要な患者さんに出会えるかも!

目次

在宅医療でかかわった患者さんとのプロローグ

認知症カフェで出会った方

カフェの黒板

とあるデイサービスで行われていた認知症カフェに月2回ほどの割合で近所の薬剤師として参加していた時に仲良くなった80代の男性Aさん。

尿道カテーテルが留置された方で要介護1。
訪問看護が週1回入って薬の管理も行われていましたが、いつも薬が余ってしまい管理が難しくて困っていると薬局に情報をくださいました。
もちろん受診は、家族の付き添いがないと出来ない。

Aさんのケアマネージャーさんからも是非ということで介入しました。

医師には直接ではなく、病院のスタッフさんを通して、当該患者の状況と、薬剤師による居宅療養管理指導の必要性を文書により報告(総合病院で複数科(糖尿病代謝内科、泌尿器科、循環器内科、脳神経内科)医師に対して)。

複数科の医師には了解をもらい、病院からの居宅療養管理指導依頼書・診療情報提供書により当薬局にて薬学的管理指導計画書を作成。処方箋の要訪問の指示を受け、居宅療養管理指導による訪問がスタートしました。

認知症カフェで知り合ったケアマネージャーさんからの紹介

仕事の挨拶

とあるデイサービスで行われていた認知症カフェに月2回ほど参加して仲良くなったケアマネージャーさんから、認知症の方への居宅療養管理指導をお願いできないかという依頼がありました。

週4回の認知症デイケアと週1回の訪問介護を受けていた要介護2の80代の女性Bさん。
息子と二人暮らしの方で日中息子さんは仕事のため不在。

Bさんはお金の管理が出来ないため、支払いをまとめて息子さんからいただくために訪問日以外にも夜間に出向かなければならないといった条件があり、私に頼んできたというわけでした。

薬局から2~3キロほど、車で10分程度のところなので、お受けすることにしました。

近所のデイサービスのケアマネージャーさんからの紹介

小さなバス

近所のデイサービスの面識のないケアマネージャーさんから電話がありました。
私の勤める薬局(以後、当薬局と記載)の近くに住む方で経管栄養を行っている患者さんに対して在宅訪問出来るかという打診。
今まで他の薬局の薬剤師が居宅療養管理指導による訪問を実施していましたが、その薬局の経営者が変わり患家までの距離が遠いので出来なくなりましたとケアマネージャーさんに連絡があったとのこと。

脳梗塞のオペの後遺症で全介助状態となった要介護5の70代の男性Cさん。
薬の管理は奥様が行い、奥様が簡易懸濁法でCさんに経管投与

当薬局から患家は近いためお受けしました。
すでに今まで他の薬局が居宅療養管理指導による訪問を行っていたので、医師からの指示書や情報提供書はこちらから連絡せずとも送られてきてスムーズに居宅療養指導による訪問が始められました

知り合いの小規模多機能型居宅介護事業所の施設長さんからの紹介

派手な家

もともと知り合いだった小規模多機能型居宅介護事業所の施設長さんから、施設(宿泊先)での薬や患者の状態の管理においてサポートしてほしいと申し出がありました。

心不全で入退院を繰り返している要介護4の90代の女性。

担当ケアマネージャーさんにも了承を得て、医師に施設側から要望があり薬局薬剤師による居宅療養管理指導実施の指示をいただけないかを打診
結果処方箋に要訪問の指示が記載され、当薬局の居宅療養管理指導による訪問が始まりました。

訪問日時の調整について

予定管理する男

メインの病院(※)の昼休み中や午後が休診になる日
もしくは薬局の営業時間が終わった後に訪問しています。

基本的には訪問日は処方箋受付日に患家と連絡を取ってから決めています。

実際のところ患者さんは震災等への対応で残薬をもっていないと不安であるケースが多く1週間ぐらいは残薬をもっており、訪問日の調整は割と楽に行えています。(※)メインの病院とは「当該薬局において処方せん受付割合が一番多い医療機関」つまり「となりの病院」のこと

一人薬剤師が行う在宅訪問業務の限界

中年薬剤師

令和4年10月現在、当薬局の在宅患者さんは1名。月2回の訪問をしております。
平成29年から在宅訪問業務をしておりまして、一番多いときで3名、月4回の訪問でした。

1件の在宅訪問業務の所要時間は、患家にいる時間は30分程度、移動に30分程度で1時間は必要
メインの病院の昼休みの時間に行えば少なくともメインの病院には迷惑が掛かりません(※)メインの病院とは「当該薬局において処方せん受付割合が一番多い医療機関」つまり「となりの病院」のこと

あいにく当薬局にはクリーンベンチや無菌調剤室がありません。
そのため無菌調剤が必要な患者さんの場合、クリーンベンチや無菌調剤室を他の薬局から借りて薬を調剤(調製)する必要があります。
もちろん設備をもつ薬局の営業時間内であれば好きな時間に行ってもよいわけではありません。

ですから設備をお借りする日時の調整、薬を用意・調剤する時間、また訪問日時の調整など一人薬剤師ではちょっと厳しい

なぜなら一人薬剤師の場合、薬剤師が外に出るときは原則薬局を閉めなければなりません
急に長時間閉局することによって、いつも利用していただいているたくさんの患者さんに迷惑がかかってしまいます。
そのため長時間薬局を閉めなければならない時は、その日に定期的に薬局を利用すると思われる方に前もって周知するようにしています。

長時間薬局を閉めることが必要であれば少なくともその準備に数日が必要で、かなりの労力を使います。

また緩和ケアを受けていらっしゃる方のレスキューの処方などに必要な緊急訪問
もちろん麻薬ということであれば事務員さんに代わりに持っていってとは言えません。
少なくともその日の昼休みの時間か営業時間終了後の対応となります。

ということで、こういった患者さんに迷惑がかかりそうなケースに対してはこちらの事情をお話ししてお断りする方向にしています(法人内の他店舗や在宅協力薬局との連携を構築するまでは)。

患者さんに迷惑がかからないように当薬局が出来るところはここまでということをあらかじめ示すことが必要と思われます。
一人薬剤師の薬局では、在宅訪問が必要な方すべてに対応できるわけではないことを割り切ることが大事です。

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